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ベータ関数とガンマ関数の関係【重積分から丁寧に】
ベータ関数とガンマ関数という有名な関数があります。
詳しくはこちらの記事で説明しています!
これら、ベータ関数とガンマ関数は実は関係があって、その関係を上手く使うことでガウス積分という重要な積分結果を求めることができます!
この記事では、ベータ関数とガンマ関数の関係を説明していきます。
ベータ関数とガンマ関数の関係
ベータ関数とガンマ関数には以下のような関係が成り立ちます。
ベータ関数とガンマ関数の関係
\(p>0,q>0\)とすると、
\(\displaystyle B(p,q)=\frac{\Gamma(p)\Gamma(q)}{\Gamma(p+q)}\)
の関係が成り立つ。ただし、\(B(p,q)\)、\( \Gamma(p)\)はそれぞれベータ関数、ガンマ関数で、
\(\displaystyle B(p, q) = \int_0^1x^{p-1}(1-x)^{q-1} dx \)
\(\displaystyle \Gamma (p) = \int_0^\infty t^{p-1} e^{-t} dt \)
という関数です。
高校数学の範囲だけでは証明は難しいです。できれば、次の重積分とその置換積分の話を理解しておくと話がスムーズです。内容自体は高校生でも「こんなものか」くらいの理解はできるはずです。
(証明)
\(\displaystyle \Gamma (p) = \int_0^\infty t^{p-1} e^{-t} dt \)において、\(t=x^2\)とすると、
\(x: 0 \rightarrow \infty\)のとき、\(t: 0 \rightarrow \infty\)、
また、\(dt = 2x dx\)となるので、
\(\displaystyle \Gamma (p) = \int_0^\infty t^{p-1} e^{-t} dt \)
\(\displaystyle \quad = \int_0^\infty x^{2(p-1)} e^{-x^2} 2x dx \)
\(\displaystyle \quad = 2 \int_0^\infty x^{2p-1} e^{-x^2} dx \)…①
同様に、\(\displaystyle \Gamma (q) = \int_0^\infty s^{q-1} e^{-s} ds \)において、\(s=y^2\)とすると、
\(\displaystyle \Gamma (q) = 2 \int_0^\infty y^{2q-1} e^{-y^2} dy \)
よって、
\(\displaystyle \Gamma (p)\Gamma (q) = 4 \int_0^\infty x^{2p-1} e^{-x^2} dx\int_0^\infty y^{2q-1} e^{-y^2} dy \)
\(\displaystyle \quad = 4 \int_0^\infty \int_0^\infty x^{2p-1} e^{-x^2}y^{2q-1} e^{-y^2} dxdy\)
\(\displaystyle \quad = 4 \int_0^\infty \int_0^\infty x^{2p-1} y^{2q-1} e^{-(x^2+y^2)} dxdy\)
ここで、\(x=r \cos{\theta},y=r \sin{\theta}\)と置き換えると、\( \{ x:0 \to \infty,y:0 \to \infty \} \)の表す領域は\(r\)、\(\theta\)で表すと\( \{ r:0 \to \infty, \theta: 0 \to \frac{\pi}{2} \} \)、ヤコビアンは\(||J||=r\)なので、
\(dxdy = r dr d \theta\)
「ヤコビアン?なんのこと?」という人は、こちらをご覧ください。重積分(2変数の積分)の変数変換で極座標に変換するのは定番ですので、このヤコビアンはよく使いますね。
ゆえに、
\(\displaystyle \quad = 4 \int_0^\infty \int_0^{\frac{\pi}{2}} r^{2p-1}\cos^{2p-1}\theta r^{2q-1} \sin^{2q-1}\theta e^{-r^2} r dr d \theta\)
\(\displaystyle \quad = 2 \int_0^\infty r^{2(p+q)-1}e^{-r^2} dr \cdot 2\int_0^{\frac{\pi}{2}} \cos^{2p-1}\theta \sin^{2q-1}\theta d \theta\)
ここで、\(t=x^2\)と置換したガンマ関数\(\displaystyle \Gamma(p) = 2 \int_0^\infty x^{2p-1} e^{-x^2} dx\)(①参照)と、\(x=\sin^2\theta\)と置換したベータ関数\(\displaystyle B(p, q) = 2 \int_0^{\frac{\pi}{2}}\sin^{2p-1}\theta \cos^{2q-1}\theta d\theta \)+ベータ関数の性質\(B(p,q)=B(q,p)\)(こちらのベータ関数の記事参照)の性質を使うと、
\(\displaystyle \quad = \Gamma(p+q) B(p,q)\)(←\( 2\int_0^{\frac{\pi}{2}} \cos^{2p-1}\theta \sin^{2q-1}\theta d \theta = B(q,p) = B(p,q) \)
以上から、
\(\displaystyle \Gamma (p)\Gamma (q)= \Gamma(p+q) B(p,q)\)
\(\displaystyle B(p,q)=\frac{\Gamma(p)\Gamma(q)}{\Gamma(p+q)}\)(終)
重積分と重積分の変数変換、あとはベータ関数周りの性質をガッツリ使わないと証明ができません。
結構ハードですね…。
せっかくハードな証明をしたので、ぜひこちらも見てください!半分は、このガウス積分のために証明したようなもんです。
まとめ
ベータ関数とガンマ関数…一見関係なさそうな関数同士に関係があるのは面白いですね!
この関係から色々と導かれる性質もあるので、こちらもあわせてご覧ください。