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ガンマ関数の計算方法と性質をわかりやすく解説【階乗の一般化!?】
ガンマ関数といわれる有名な関数があります。
このガンマ関数、「階乗を整数以外にも拡張する」という関数で他にも色々と面白い性質があります。
他の関数、特にベータ関数との関係から導かれる性質はかなり重要です!
この記事では、ガンマ関数の定義と主な性質を確認していきます。
ガンマ関数とは
ガンマ関数
ガンマ関数は
\(\displaystyle \Gamma (x) = \int_0^\infty t^{x-1} e^{-t} dt \)
で定められる関数です。
?これが階乗を整数以外にも拡張する関数…?
ということで、少し積分計算をしながらガンマ関数の性質を見ていきましょう!
ガンマ関数が階乗の一般化であることへの一歩目
\(\displaystyle \Gamma (x+1) = \int_0^\infty t^{x} e^{-t} dt \)を積分してみましょう!中身は積の形ですし、\(e^{-t}\)があるので、部分積分が決まり手ですね!
計算…の前に、\(\displaystyle \Gamma (x+1) = \int_0^\infty t^{x} e^{-t} dt \)の積分区間の上端が\(\infty\)になっています。
これは広義積分と呼ばれている積分で簡単にいうと、\(\displaystyle \lim_{b \to \infty} \int_0^b t^{x} e^{-t} dt \)という感じで「定積分計算→極限計算」をします。
それでは実際に積分をしていきましょう。
(計算)
\(\displaystyle \Gamma (x+1) = \int_0^\infty t^{x} e^{-t} dt \)
\(\displaystyle \quad = \left[ t^{x}(-e^{-t}) \right]_0^\infty – \int_0^\infty xt^{x-1}(- e^{-t}) dt\)(←積分段階では\(x\)は定数であることに注意)
\(\displaystyle \quad = x\int_0^\infty t^{x-1}e^{-t} dt\)(←\(\displaystyle \lim_{t \to \infty} t^{x}e^{-t}=0\)を使った。)
\(\displaystyle \quad = x \Gamma (x) \)
\(\displaystyle \Gamma (x+1) = x \Gamma (x) \)
よって、ガンマ関数は次の性質が成り立ちます。
(性質①)
\(\displaystyle \Gamma (x+1) = x \Gamma (x) \)
ガンマ関数から階乗を導く
ここまでくれば、ほとんど終わったも同然です笑
(性質②)
\(\displaystyle \Gamma (n+1) = n! \)
(\(n\)がひとつずれるので注意してください。また、\(n\)は自然数、のような意味で書いていますが、これは普通の階乗の形に寄せるためです。以下の証明でわかりますが、実際にはどんな値が来てもOKです。)
(証明)
\(\displaystyle \Gamma (1) = \int_0^\infty t^{0} e^{-t} dt \)
\(\displaystyle \quad = \left[ -e^{-t} \right]_0^\infty = 0 – (-1)=1 \)
\(\displaystyle \Gamma (x+1) = x \Gamma (x) \)より、\(\displaystyle \Gamma (n+1) = n \Gamma (n) \)なので、
\(\displaystyle \Gamma (n+1) = n \Gamma (n) = n (n-1)\Gamma(n-1) \)
\(\quad = \dots = n(n-1)(n-2)\cdots\cdot1\Gamma(1)=n!\)
なるほど、確かに1ずれますけど、階乗の計算ですね。
ガンマ関数の値を計算してみよう
上で示したように、ガンマ関数には
(性質①)
\(\displaystyle \Gamma (x+1) = x \Gamma (x) \)
という性質があります。この式から、特定のガンマ関数の値を計算することができます。
この性質を使ってガンマ関数の値をいくつか計算してみましょう!
Γ(1/2)の値
これは、先ほどの性質を使うための下準備です。
置換積分とガウス積分の計算結果を使います。
(計算)
\(\displaystyle \Gamma \left( \frac{1}{2} \right) = \int_0^\infty t^{-\frac{1}{2}} e^{-t} dt \)
\(t=x^2\)とおくと、\(t: 0 \to \infty\)のとき\(x: 0 \to \infty\)、
また、\(dt = 2xdx \)なので、
\(\displaystyle \Gamma \left( \frac{1}{2} \right) = \int_0^\infty x^{-1} e^{-x^2} 2xdx \)
\(\displaystyle \quad = 2 \int_0^\infty e^{-x^2}dx \)
\(\displaystyle \quad = \int_{-\infty}^\infty e^{-x^2}dx \)(←\(e^{-x^2}\)は偶関数)
\(\displaystyle \quad = \sqrt{\pi} \)(←ガウス積分\(\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty}e^{-x^2}=\sqrt{\pi} \)の計算結果を使った。)
ガウス積分を計算するためにガンマ関数を使う方法もあるので、若干「ニワトリが先か卵が先か感」があるのですが、ガウス積分の計算方法は他にもあるのでまぁよしとしましょう。
とにかく、\(\displaystyle \Gamma \left( \frac{1}{2} \right) =\sqrt{\pi}\)となることがわかりました。
Γ(3/2)の値
\(\displaystyle \Gamma \left( \frac{1}{2} \right) =\sqrt{\pi}\)を使って\(\displaystyle \Gamma\left( \frac{3}{2} \right)\)の値を求めてみましょう。
(計算)
ガンマ関数の性質①\(\displaystyle \Gamma (x+1) = x \Gamma (x) \)を上手く使います。
\(\displaystyle \Gamma\left( \frac{3}{2} \right) = \Gamma\left( \frac{1}{2}+1 \right) = \frac{1}{2}\Gamma\left( \frac{1}{2} \right)\)
\(\displaystyle \quad = \frac{1}{2} \cdot \sqrt{\pi} = \frac{\sqrt{\pi}}{2}\)
ここから、性質②\(\displaystyle \Gamma (n+1) = n! \)を使えば、
\(\displaystyle \left( \frac{1}{2} \right)! = \Gamma\left( \frac{3}{2} \right) =\frac{\sqrt{\pi}}{2}\)
となることがわかります。
たまたま\(\Gamma\left( \frac{3}{2} \right)\)は値を求めることができますが、これが「ガンマ関数が階乗の一般化」と言われる理由ですね。
まとめ
ガンマ関数の性質についてでした。
ガンマ関数はベータ関数との関わりが深かったり、ガウス積分の導出にも使えます。
このあたりをあわせて読んでもらえると面白いかな、と思います。