ベータ関数の性質をわかりやすく解説!【1/6公式や三角関数との関係も】

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ベータ関数…大学入試でもちょくちょく出題されるテーマですが、色々と面白い性質があります。

シンプルな形ですが、実際に計算してみると、部分積分や置換積分計算のいい練習になります

せんせ

計算だけでなく、他の関数とのカラみなど面白い性質が沢山あります!

この記事では、ベータ関数の定義や計算方法、ベータ関数のもつ面白い性質について説明していきます。

目次

ベータ関数とは

ベータ関数

ベータ関数とは

\(\displaystyle B(p, q) = \int_0^1x^{p-1}(1-x)^{q-1} dx \)

で定められる関数です。

せんせ

入試問題なんかでも、ベータ関数を背景にした問題がよく出題されますね。

ベータ関数を計算してみよう!

ベータ関数は高校数学IIIの知識で計算することができます!

せんせ

大学入試でもよく出題されるテーマです!一度計算するといい練習になります!!

\(\displaystyle B(p, q) = \int_0^1x^{p-1}(1-x)^{q-1} dx = \frac{(p-1)!(q-1)!}{(p+q-1)!}\)

が成り立つ

(証明)

せんせ

…ひたすら部分積分です!
計算ミスしないようにしましょう!

\(\displaystyle B(p, q) = \int_0^1x^{p-1}(1-x)^{q-1} dx \)

\(\displaystyle \quad = \left[ \frac{1}{p}x^p(1-x)^{q-1} \right]_0^1-\int_0^1 \frac{1}{p}x^p\{-(q-1)\}(1-x)^{q-2}dx\)

\(\displaystyle \quad = \frac{q-1}{p}\int_0^1 x^p(1-x)^{q-2}dx\)

\(\displaystyle \quad = \frac{q-1}{p}B(p+1,q-1)\)

\(\displaystyle \quad = \frac{q-1}{p} \cdot \frac{q-2}{p+1} B(p+2,q-2)\)

\(\quad \cdots\)

\(\displaystyle \quad = \frac{q-1}{p} \cdot \frac{q-2}{p+1} \cdot \cdots \cdot \frac{1}{p+q-2} B(p+q-1,1)\)…※

ここで、

\(\displaystyle B(p+q-1,1) = \int_0^1 x^{p+q-2}(1-x)^{0} dx = \int_0^1 x^{p+q-2} dx\)

\(\displaystyle \quad = \left[ \frac{1}{p+q-1}x^{p+q-1} \right]_0^1 = \frac{1}{p+q-1}\)

なので、

\(\displaystyle B(p, q) = \frac{q-1}{p} \cdot \frac{q-2}{p+1} \cdot \cdots \cdot \frac{1}{p+q-2} \cdot \frac{1}{p+q-1}\)

\(\displaystyle \quad = \frac{(p-1)!(q-1)!}{(p+q-1)!}\)

せんせ

ちなみに、※の部分のコツをちょっと詳しく説明します。ここからは「このくらいの部分積分の計算はできるよ!」という人は飛ばしてOKです!

この部分が苦手、というひとが多いんですよね。ちょっとしたコツを教えます。

※部分の解説

\(\displaystyle \quad = \frac{q-1}{p} \cdot \frac{q-2}{p+1} B(p+2,q-2)\)

\(\quad \cdots\)

\(\displaystyle \quad = \frac{q-1}{p} \cdot \frac{q-2}{p+1} \cdot \cdots \cdot \frac{1}{p+q-2} B(p+q-1,1)\)

コツは、分数部分と他の部分がどのようにリンクしているか、というのを確認していきます。

せんせ

まずは1行目で確認します。

\(\displaystyle \quad = \frac{q-1}{p} \cdot \frac{q-2}{p+1} B(p+2,q-2)\)

\(\displaystyle \frac{q-2}{p+1} B(p+2,q-2)\)。この分子\( (q-2) \)と\(B(p+2,q-2)\)の\(q-2\)の部分は同じですよね?①ここは同じ、という判断です。

次に分母\( (p+1) \)と\(B(p+2,q-2)\)の\(p+2\)の部分を比べると、②分母の方が1少ない、という関係です。

最後に、\(B(p+2,q-2)\)の\((p+2)\)と\((q-2)\)を比べると\(p\)は\(+2\)、\(q\)は\(-2\)されていることがわかります。つまり③同じ値だけ\(p\)は加える、\(q\)は引く、という関係になっています。

もしくは③足したら\(p+q\)になる、でもいいかもしれません。こっちの方が簡単かも…。

この関係を押さえておきながら、最後の\(\displaystyle \frac{q-1}{p} \cdot \frac{q-2}{p+1} \cdot \cdots \cdot \frac{1}{p+q-2} B(p+q-1,1)\)がどうなるか確認していきます。特に最後の\(\displaystyle \frac{1}{p+q-2} B(p+q-1,1)\)の部分です。

最終的に \(B(□,1)\)のように、最後が1になればOKです。このとき、□や一つ手前の分数がどうなるか?を考えていきます。

まずは①ここは同じ、という点について。手前の分数の分子は\(B(□,1)\)の1と同じになるので、\(\displaystyle \frac{1}{○}\)となります。

次に②を考えたいところですが、\(B(□,1)\)の□の部分がわからないと判断できないので、先に③同じ値だけ\(p\)は加える、\(q\)は引くを考えます。

この「同じ値だけ」というところがラストの山ですね。

「\(q\)は引く、そしてその結果が1」となるので、簡単な計算で確認できます。\(q-x = 1\)となる\(x\)を求めればOKですね。

答えは\(x=q-1\)。つまりこの「同じ値、というのは\(q-1\)」なので、\(B(□,1)\)の□の部分は\(p+(q-1)=p+q-1\)となります。

もしくは、③足したら\(p+q\)になる、と考えると\(□+1=p+q\)。つまり、\(□=p+q-1\)、でもOKです。やっぱりこっちの方が簡単かも…。

最後、②分母の方が1少ないというのを考えると、手前の分数\(\displaystyle \frac{1}{○}\)の○部分は\(p+q-1-1=p+q-2\)となります。

これで、\(\displaystyle \frac{q-1}{p} \cdot \frac{q-2}{p+1} \cdot \cdots \cdot \frac{1}{p+q-2} B(p+q-1,1)\)の完成です。

コツは「どの部分が同じなのか?」「どの程度変わるのか?」「同じだけ足したり引いたりしている部分は足してみると一定の値になる」など、変わる部分、変わらない部分を押さえていく、という点です。

せんせ

数列なんかでもよく出てくる考え方です。苦手な人は一度練習してみましょう!

ベータ関数の面白い性質

B(p,q)=B(q,p)

せんせ

ベータ関数の性質の証明は置換積分のオンパレード!置換積分のいい練習になります。手始めに次の性質を証明してみましょう。

\(B(p,q) = B(q,p)\)

(証明)

\(\displaystyle B(p, q) = \int_0^1x^{p-1}(1-x)^{q-1} dx \)について、

\(1-x = t\)と置くと、\(x:0 \to 1\)のとき\(t: 1 \to 0\)、

\(x = 1-t\)より\(dx = -dt\)なので、

\(\displaystyle B(p, q) = \int_1^0 (1-t)^{p-1} t^{q-1} (-dt) \)

\(\displaystyle \quad = \int_0^1 t^{q-1}(1-t)^{p-1} dt=B(q,p) \)(←積分変数については、\(x\)だろうが\(t\)だろうが、形が同じであれば式として同じ)(終)

せんせ

置換積分部分がわからない!という人はこちらの記事もあわせてご覧ください。

有名公式「1/6公式」を導いてみよう!

せんせ

ベータ関数を上手く利用することで、いわゆる「1/6公式」を導くことができます!

まずは置換積分で次の式を導いていきます。

\(\displaystyle \int_\alpha^\beta (t-\alpha)^{p-1}(\beta – t)^{q-1}dt = \frac{(p-1)!(q-1)!}{(p+q-1)!}(\beta-\alpha)^{p+q-1}\)

\(\displaystyle \int_0^1x^{p-1}(1-x)^{q-1} dx \)の\(x\)を用いて、\(t=(\beta – \alpha)x+\alpha\)と置きます。

すると、\(x:0 \rightarrow 1\)のとき、\(t: \alpha \rightarrow \beta\)となります。

さらに、\(\displaystyle x = \frac{t-\alpha}{\beta-\alpha}\)、\(\displaystyle 1-x = 1-\frac{t-\alpha}{\beta-\alpha}=\frac{\beta-t}{\beta-\alpha}\)となるので、

\(\displaystyle dx = \frac{1}{\beta-\alpha}dt \)

\(\displaystyle \int_0^1x^{p-1}(1-x)^{q-1} dx = \int_\alpha^\beta \frac{1}{(\beta-\alpha)^{p-1}}(t-\alpha)^{p-1}\frac{1}{(\beta-\alpha)^{q-1}}(\beta – t)^{q-1}\frac{1}{\beta-\alpha}dt \)

\(\displaystyle \frac{(p-1)!(q-1)!}{(p+q-1)!} = \frac{1}{(\beta-\alpha)^{p+q-1}} \int_\alpha^\beta (t-\alpha)^{p-1}(\beta – t)^{q-1}dt \)

\(\displaystyle \int_\alpha^\beta (t-\alpha)^{p-1}(\beta – t)^{q-1}dt = \frac{(p-1)!(q-1)!}{(p+q-1)!}(\beta-\alpha)^{p+q-1}\)

せんせ

この式を導くことができたら、あとは簡単!
\(p=q=2\)を代入すれば1/6公式が出てきます!

\(\displaystyle \int_\alpha^\beta (t-\alpha)(\beta – t)dt = \frac{1!1!}{3!}(\beta-\alpha)^{3}=\frac{1}{6}(\beta-\alpha)^3\)

B(p,q)を三角関数で表してみよう

せんせ

こちらのベータ関数とガンマ関数の関係を導くためにも使う、意外と重要な変形です。置換積分するだけなんですけどね。

\(\displaystyle B(p, q) = \int_0^1x^{p-1}(1-x)^{q-1} dx \)は次のようにも表現できる。

\(\displaystyle B(p, q) = 2 \int_0^{\frac{\pi}{2}}\sin^{2p-1}\theta \cos^{2q-1}\theta d\theta \)…※※

(証明)

\(\displaystyle B(p, q) = \int_0^1x^{p-1}(1-x)^{q-1} dx \)

ここで、\(x= \sin ^2 {\theta}\)とおくと、

\(x: 0 \rightarrow 1\)のとき\(\displaystyle \theta : 0 \rightarrow \frac{\pi}{2}\)、

\(dx = 2 \sin{\theta}\cos{\theta} d\theta\)

\(\displaystyle B(p,q) = \int_0^\frac{\pi}{2} \sin ^{2p-2}{\theta} (1-\sin^2{\theta})^{2q-2} 2 \sin{\theta}\cos{\theta} d\theta \)

\(\displaystyle \quad = 2\int_0^\frac{\pi}{2} \sin ^{2p-1}{\theta} \cos^{2q-1}{\theta} d\theta\)

B(1/2,1/2)の値は?

せんせ

上の性質をうまく使えば\(\displaystyle B \left( \frac{1}{2}, \frac{1}{2} \right) \)を求めることができます!
ガウス積分の結果を導くための重要な計算結果でもあります。

上の式※※に\(\displaystyle p=\frac{1}{2}\)、\(\displaystyle q=\frac{1}{2}\)を代入すると、

\(\displaystyle B \left( \frac{1}{2}, \frac{1}{2} \right) =2\int_0^\frac{\pi}{2}\sin^0\theta \cos^0\theta d\theta= 2\int_0^\frac{\pi}{2} d\theta = \pi \)

ベータ関数とガンマ関数の関係

ベータ関数と、もう一つ有名な「ガンマ関数」といわれる関数の間には次の関係があります。

ベータ関数とガンマ関数の関係

\(\displaystyle B(p,q) = \frac{\Gamma(p)\Gamma(q)}{\Gamma(p+q)}\)

ただし、ガンマ関数\( \Gamma(x) \)とは、

\(\displaystyle \Gamma(x) = \int_0^\infty t^{x-1} e^{-t} dt \)

で定義される関数である。

せんせ

詳しくはこちらの記事にまとめています。

まとめ

ベータ関数の計算と性質についてでした。

高校数学範囲で計算できる関数で取り組みやすいので、ぜひ一度自分で計算してみてください。

また、この後のガンマ関数との関係も面白いので、あわせて読んでもらえたらなと思います!

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