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重積分のやり方を基本から丁寧に!積分範囲や重積分のイメージも図解!
重積分は2変数関数の積分方法です。
大学で学ぶ範囲ですが、イメージを捉えるだけだったらそんなに難しくありません。高校の積分がわかっていれば理解できると思います。
この記事では重積分の基本について解説していきます。
重積分とは?
まず断っておきますが、この記事では、高校で習う1変数の積分を2変数に拡張した「2重積分」の説明をしていきます。ですので、この記事内では「重積分」は「2重積分」のことだと思ってください。
ま、実際に2重積分のことを「重積分」と呼んだりもします。
これ以降3変数、4変数、…と続いても、イメージはしにくくなりますが、考え方は一緒ですね。
それでは、重積分の基本についてサクッと理解していきましょう!
2変数関数
重積分は2変数の関数を積分するので、2変数関数\(z = f(x, y)\)という関数が必要になります。
この\(z = f(x, y)\)は\(xyz\)空間上の平面を表す関数だと思っておいてください。
\((x,y)\)という\(xy\)平面上の点によって\(z\)(高さ)がただ一つ決まる、と思えば、それの集まりは\(xyz\)空間上の平面になりますよね。
重積分の範囲とイメージ
この\(xyz\)空間上の平面について、ある領域\(D\)に対して積分計算をしていくことを重積分といいます。
重積分は\(x\)、\(y\)について順次、積分をしていくのですが、この \(x\)と\(y\)の範囲が領域\(D\)になる、ということですね。
積分ですから「\(x\)と\(y\)の範囲」があります。この「\(x\)と\(y\)の範囲」が\(xyz\)空間で言うと「領域」になるということですね。
この領域と\(z = f(x, y)\)に囲まれた空間の体積を求める計算が重積分になります。
「体積」はイメージの話です。1変数の定積分が、計算上負の値になることもあるように、2変数の重積分が計算上負の値になることもあります。
感覚としては、1変数の定積分(平面)のときに細ーい短冊の和で面積を計算したのを、2変数(空間)に拡張した感じですね。
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重積分の表現方法と計算方法
ここまでは重積分の「イメージ」の話でしたが、ここからは表現方法と計算方法です。
ただ、こちらは全然難しくないです!
重積分
\(xy\)平面上の領域\(D\)において、\(z = f(x, y)\)に対する重積分を
\(\displaystyle \int\!\!\!\int_D f(x,y)dxdy\)
と書く。\(dxdy\)は面積要素ということもある。
重積分の計算については、累次積分(るいじせきぶん)といって、簡単に言うと「順番に積分(着目している文字以外は定数とみなす)」していきます。
例題.領域\(D=\{ (x,y)|0 \leq x \leq 1, 0 \leq y \leq x \} \)における\(f(x,y)=x+y\)の重積分を求めよ。
方法としては、
(i) \(y\)を積分(\(x\)固定)→\(x\)を積分
(ii) \(x\)を積分(\(y\)固定)→\(y\)を積分
の2パターンあります。
(iの解)
求める重積分\(V\)は
\(\displaystyle V=\int\!\!\!\int _D f(x,y)dxdy\)
\(\displaystyle \quad = \int_0^1 \left\{ \int_0^x(x+y)dy \right\} dx\)
\(\displaystyle \quad = \int_0^1 \left[ xy + \frac{1}{2}y^2 \right]_0^x dx\)
\(\displaystyle \quad = \int_0^1 \left( x \cdot x + \frac{1}{2}x^2 \right) dx\)
\(\displaystyle \quad = \int_0^1 \frac{3}{2}x^2dx\)
\(\displaystyle \quad = \left[ \frac{1}{2}x^3 \right]_0^1 = \frac{1}{2}\)…(答)
(iiの解)
\(0 \leq x \leq 1, 0 \leq y \leq x \)より、\(0 \leq y \leq 1, y \leq x \leq 1\)なので、
求める重積分\(V\)は
\(\displaystyle V=\int\!\!\!\int _D f(x,y)dxdy\)
\(\displaystyle \quad = \int_0^1 \left\{ \int_y^1(x+y)dx \right\} dy\)
\(\displaystyle \quad = \int_0^1 \left[ \frac{1}{2}x^2 + yx \right]_y^1 dy\)
\(\displaystyle \quad = \int_0^1 \left\{ \frac{1}{2} + y – \left( \frac{1}{2}y^2 + y^2 \right) \right\} dy\)
\(\displaystyle \quad = \int_0^1 \left( -\frac{3}{2}y^2 + y + \frac{1}{2} \right) dy\)
\(\displaystyle \quad = \left[ -\frac{1}{2}y^3 + \frac{1}{2}y^2 + \frac{1}{2}y \right]_0^1 = \frac{1}{2}\)…(答)
当たり前ですが、どちらも答えは同じですね。
重積分の性質
基本的に1変数の積分のような性質です。
- \(\displaystyle \int\!\!\!\int_D \{ kf(x,y) \pm l g(x, y)\}dxdy\)\(\displaystyle \quad = k \int\!\!\!\int_D f(x,y)dxdy \pm l \int\!\!\!\int_Dg(x, y)dxdy\)
- 領域\(D\)を\(D_1\)、\(D_2\)に分割する場合、
\(\displaystyle \int\!\!\!\int_D f(x,y)dxdy=\) \(\displaystyle \int\!\!\!\int_{D_1} f(x,y)dxdy+\int\!\!\!\int_{D_2} f(x,y)dxdy\)
のように計算できます。1変数のときに積分区間を分けるのと同じ要領ですね。
- また、\(D\)が長方形領域(\(x\)、\(y\)の積分区間がそれぞれ定数\(a \leq x \leq b\)、\(c \leq y \leq d\))で、\(f(x,y)\)が\(x\)のみの関数\(g(x)\)と\(y\)のみの関数\(h(y)\)の積\(f(x,y)=g(x)h(y)\)に分けられるとき、
\(\displaystyle \int\!\!\!\int_D g(x)h(y)dxdy= \int_a^b g(x)dx \int_c^d h(y) dy \)
のように、\(x\)、\(y\)それぞれの積分の積に分解できます。
最後の性質は2変数ならでは、ですね。ガウス積分を求めるときに使ったりします。
まとめ
重積分についての説明でした。感覚的にはそんなに難しくないかな、と思います。
ただ、重積分の変数変換については若干クセがあるので、興味のある方はぜひご覧ください!