確率変数の期待値(平均)とは?計算方法や変数変換aX+bでどうなるかを説明

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「平均」という言葉は聞いたことがあると思いますが、統計では確率変数のとる値の平均のことを「期待値」とも言われます。

統計での期待値(平均)とはどのような値のことを言うのでしょうか?

この記事では、期待値の求め方から例題、確率変数の変数変換で期待値がどうなるか、について説明します。

目次

確率変数の期待値(平均)の求め方

たろぅ

絶対やるんだぁ!

はなこ

やめといた方がいいんじゃない?

たろぅ

いや、ワンチャン、このくじに掛けるんだぁ!

せんせ

どうしました?

はなこ

いや、太郎君がこのゲームに参加するって言ってきかないんです。

せんせ

どれどれ…。

ゲーム

100本のくじの中に当たりが2本入っている。その他はすべてハズレである。当たりが出れば1万円の賞金がもらえて、ハズレが出れば賞金は0円である。一回で一本のくじを引いて、高額賞金を当てよう!

参加料:1回500円

たろぅ

当たったら1万円ですよ!
参加するしかないでしょ!

せんせ

…まぁ、自分の運を信じるなら参加すればいいじゃないですか。
数学的には明らかに損する計算ですけどね。

たろぅ

えっ…。

期待値はその名の通り、その試行を行うことで期待できる、確率変数の値の平均のことです。

期待値は次の計算方法で計算することができます。

確率分布が次のように与えられているとする。

\(X\)\(x_1\)\(x_2\)\(x_n\)
\(P(X)\)\(p_1\)\(p_2\)\(p_n\)1

このとき、期待値\(E(X)\)は次のように計算できる。

\(E(X)=x_1p_1+x_2p_2+\cdots+x_np_n\)

せんせ

その確率変数を、確率によって(=出やすさによって)重みづけをして平均をとった値が期待値になります。

ですので、期待値のことを平均、といったりもします。

確率変数や確率分布の基本についてはコチラの記事をごらんください。

確率変数の期待値(平均)「さっきのゲームは?」

たろぅ

えー…じゃあさっきのゲームの期待値ってどうなるんですか?

せんせ

自分で確率分布作って計算してみてくださいよ。

たろぅ

…冷てぇなぁ。

先ほどのゲームの確率分布は次のようになります。

\(X\)010000
\(P(X)\)\(\displaystyle \frac{98}{100}\)\(\displaystyle \frac{2}{100}\)1

よって、期待値\(E(X)\)は次のようになります。

\(\displaystyle E(X) = 0 \cdot \frac{98}{100} + 10000 \cdot \frac{2}{100}\)
\( \quad = 200\)

つまり、確率変数(=賞金)の期待値(=平均)は200円となります。

たろぅ

あら…?期待できる賞金って200円なの?
ということは500円も払ったら損する可能性の方が高いの?

せんせ

まぁ、あくまで数学的な話ですよ。
当たれば1万円もらえるんですから。

たろぅ

よし!やっぱりやるぞ!

はなこ

やめといた方がいいのに…。

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変数変換X→aX+bで期待値(平均)はどうなる?

確率変数の変数変換で、期待値は次のようになります。

変数変換による期待値の変化

確率変数\(X\)における期待値が\(E(X)\)であるとする。

\(X\)→\(aX+b\)と変数変換すると、期待値\(E(aX+b)\)は次のようになる。

\(E(aX+b) = a E(X) +b\)

せんせ

証明もしておきましょう。

(証明)

\(X\)\(x_1\)\(x_2\)\(x_n\)
\(P(X)\)\(p_1\)\(p_2\)\(p_n\)1

このとき期待値は\(E(X)=x_1p_1+x_2p_2+\cdots+x_np_n\)となります。

これを\(X\)→\(aX+b\)と変数変換すると、確率分布は次のようになります。

\(aX+b\)\(ax_1+b\)\(ax_2+b\)\(ax_n+b\)
\(P(aX+b)\)\(p_1\)\(p_2\)\(p_n\)1

それぞれの確率については変化はありません。

このとき、期待値\(E(aX+b)\)は、

\(E(aX+b) = (ax_1+b)p_1+(ax_2+b)p_2+\cdots+(ax_n+b)p_n\)

\(\quad = ax_1p_1+\cdots+ax_np_n+bp_1+\cdots+bp_n\)(←展開して項を入れ替えた)

\(\quad = a(x_1p_1+\cdots+x_np_n)+b(p_1+\cdots+p_n)\)

\(\quad = a E(X) +b\)(←\(x_1p_1+\cdots+x_np_n=E(X)\)、\(p_1+\cdots+p_n=1\)なので)

よって、\(E(aX+b) = a E(X) +b\)(終)

この結果から、\(X\)→\(aX\)で期待値は\(E(aX) = a E(X)\)、\(X\)→\(X+b\)で期待値は\(E(X+b) = E(X)+b\)になることがわかります。

例1.

先ほどのゲームの賞金を全て2倍にします(といっても0は2倍しても0ですが)

すると、元の期待値は\(E(X)=200\)なので\(E(2X)=2\cdot 200 = 400\)となります。

実際、確率分布は次のようになるので

\(2X\)020000
\(P(2X)\)\(\displaystyle \frac{98}{100}\)\(\displaystyle \frac{2}{100}\)1

\(\displaystyle E(2X) = 0 \cdot \frac{98}{100} + 20000 \cdot \frac{2}{100}\)
\( \quad = 400\)

と計算でき、確かに変数変換で計算できています。

例2.

次は先ほどのゲームの賞金に、参加賞として全ての確率変数に+100円します。つまり、ハズレでも100円、当たりなら1万100円の賞金になります。

すると、元の期待値は\(E(X)=200\)なので\(E(X+100)=200+100 = 300\)となります。

実際、確率分布は次のようになるので

\(X+100\)10010100
\(P(X+100)\)\(\displaystyle \frac{98}{100}\)\(\displaystyle \frac{2}{100}\)1

\(\displaystyle E(X+100) = 100 \cdot \frac{98}{100} + 10100 \cdot \frac{2}{100}\)
\( \quad = 98+202= 300\)

と計算でき、確かに変数変換で計算できています。

たろぅ

賞金2倍でも、+100円の参加賞ついても損するのか…。どんだけぼったくってんだ…。(←賞金2倍かつ参加賞+100円でようやく期待値が500円)

まとめ

期待値の意味と計算方法をまとめました。

変数変換についても触れているので、この記事を読んで期待値の基本について押さえていきましょう!

ちょっと一息

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