ベクトルの絶対値はなぜ二乗する?【本質は内積にあり!?】

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ベクトルは便利で重要な考え方ですが、苦手な人が多い分野でもあります。

原因は「イメージ」と「その場での思考」が重要だからです。

たろぅ

その状況に応じた対応って苦手…。

ですが、その分覚えることも少ないですし、基本的なイメージをしっかりと掴むことができればあとはちょっと練習するだけでベクトルの理解はかなり深まります。

せんせ

要は最初の本質部分が大事!
「ベクトルは感覚だ!」

今回の記事ではベクトルの絶対値の計算方法について説明していきます。

目次

ベクトルの絶対値(大きさ)は二乗する!

たろぅ

…はなこさん、すいませんが定規を貸してもらえませんでしょうか?

はなこ

いいけど…何に使うの?

たろぅ

…このベクトルの大きさを求める問題って、定規で長さ測るくらいしかないよね?定規持ってないのよ。

はなこ

定規で測る数学の問題なんかあるわけないじゃない。計算で求められるでしょ。

たろぅ

…KEISAN?

ということで、ベクトルの大きさの計算です。アレは正確には絶対値ではありません。絶対値の記号を流用していますが、あくまで「大きさ」です。

ベクトルの大きさは、よほど特殊な条件が揃わない限り、二乗することが鉄則です。

せんせ

状況によってはベクトルの大きさを三平方の定理や正弦定理などで出せるケースもありますが…実質「ベクトルの大きさが欲しければとにかく二乗する」と思っておきましょう!

なぜベクトルの絶対値(大きさ)は二乗することで求められるのか?

こちらの記事で説明しましたが、ベクトルの内積と大きさは密接に関わっています。

ベクトルの内積と大きさの関係

\(\overrightarrow{a} \cdot \overrightarrow{a} = |\overrightarrow{a}|^2\)

急に内積の話が出てきましたが、内積はベクトルから生み出されるスカラー量(向きを持たない普通の値)で「計算が得意」という特徴があります。

大きさを二乗することで、その計算が得意な内積に橋渡しをすることができます。

せんせ

大きさを直接計算するのではなく、二乗することで内積計算に持っていっている、ということです!

ベクトルの絶対値(大きさ)を二乗して求めてみよう!

例.\(\overrightarrow{OA}=2\)、\(\overrightarrow{OB}=3\)、\(\overrightarrow{OA} \cdot \overrightarrow{OB}=-1\)のとき、\(|\overrightarrow{AB}|\)を求めよ。

ポイントは2つです。

  • 大きさが欲しいので二乗します。
  • この問題では条件設定を見れば、明らかに始点が\(O\)です。が、求める\(|\overrightarrow{AB}|\)は始点が\(O\)ではないので、こちらの記事で説明したように引き算を使って始点を\(O\)に揃えます。

(解答)

\(|\overrightarrow{AB}|^2=|\overrightarrow{OB}-\overrightarrow{OA}|^2\)

\(\quad = (\overrightarrow{OB}-\overrightarrow{OA})\cdot(\overrightarrow{OB}-\overrightarrow{OA})\)

\(\quad = \overrightarrow{OB}\cdot\overrightarrow{OB}-2\overrightarrow{OA}\cdot\overrightarrow{OB}+\overrightarrow{OA}\cdot\overrightarrow{OA}\)

\(\quad = |\overrightarrow{OB}|^2-2\overrightarrow{OA}\cdot\overrightarrow{OB}+|\overrightarrow{OA}|^2\)

\(\quad = 9-2(-1)+4 = 15\)

\(|\overrightarrow{AB}| \geq 0\)なので、\(|\overrightarrow{AB}| = \sqrt{15}\)…(答)

内積計算は整式を展開するように計算することができます。

最初なので丁寧にやりましたが、「積→内積」「二乗→大きさの二乗」という点に注意をすれば、展開公式を使う感覚で展開することができます。

せんせ

大きさだから必ず0以上になる、というのもポイントです。実は二乗の操作は、二乗する前と後の式で同値にならないのでちょっと注意が必要ですが、「大きさ」に関しては安心して二乗できますよね。

おまけ.逆に大きさの二乗から内積を求める

逆に大きさがわかっているときに内積を求めることもできます。

例.\(\overrightarrow{OA}=2\)、\(\overrightarrow{OB}=3\)、\(|\overrightarrow{AB}|=\sqrt{5}\)のとき、\(\overrightarrow{OA} \cdot \overrightarrow{OB}\)を求めよ。

この問題も始点をOに揃えることから始めます。

(解答)

\(|\overrightarrow{AB}|=\sqrt{5}\)より

\(|\overrightarrow{OB}-\overrightarrow{OA}|=\sqrt{5}\)

両辺二乗して

\(|\overrightarrow{OB}-\overrightarrow{OA}|^2=5\)

\(|\overrightarrow{OB}|^2-2\overrightarrow{OA}\cdot\overrightarrow{OB}+|\overrightarrow{OA}|^2 = 5\)

\(9-2\overrightarrow{OA}\cdot\overrightarrow{OB}+4 = 5\)

\(\overrightarrow{OA}\cdot\overrightarrow{OB} = 4\)…(答)

せんせ

やはり大きさを二乗して、大きさ↔︎内積の橋渡しをしているところがポイントですね。

まとめ

ベクトルの大きさは二乗して計算しよう、というお話でした。

「ベクトルの大きさの二乗と内積は密接に関係している」というところが最大のポイントでした。

せんせ

図形的な「大きさ」を計算が得意な「内積」に持っていってあとは機械的に計算…。
図形と計算の橋渡しができるのがベクトルの強みですね。

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