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階差数列とは?一般項の求め方や階差数列を解く際のポイントも!
こちらでも説明しましたが、数列の一般項を求めるのはかなり重要な作業です。
この記事では一般項を求める際に重要な手法、「階差数列」を使った求め方について、公式やポイントについて説明していきます。
階差数列って?
もうだめだ…。これはムリだ…。
どうしたの、たろう君?顔がジェームス・キャメロン監督のSF映画の登場人物みたいな青さになってるよ?
あんなに青くもねぇし、アバタづらでもねぇし…。とにかくこの宿題の数列の問題が解けないのよ…。
問.次の数列の一般項\(a_n\)を求めよ。
\( 2, 3, 7, 16, 32, 57, \cdots\)
(あら…?)
等差数列でも等比数列でもないし…。まったく規則性もわかんないんだけど…。
(意外と難しいわね…どうやって解くんだろ?)…じゃあ頑張ってねぇ汗
えー!はなこさん、教えてよ!たまには助けてぇ!
ということで階差数列です。
正確には「階差数列を使った一般項の求め方」の説明をしていきます。
今回一般項を求めよ、と言われた数列は、\( 2, 3, 7, 16, 32, 57, \cdots\)です。
この数列は一見規則性がないように見えますが、隣の項との差をとってみましょう。すると…
\(1, 4, 9, 16, 25, \cdots \)
となり、なんだか規則性が見えてきます。
このように、数列の隣り合う項の差を並べたものを「階差数列」と言います。この階差数列を利用して一般項を求めることができます。
なんでもかんでも階差数列を考えればいいわけではないですが、規則性がわからないときに階差をとる、というのは有効な手段です。
階差数列の一般項の求め方
階差数列\( \{b_n\}\)と元の数列\(\{a_n\}\)は次のような関係になっています。
この階差数列の意味を考えると、例えば
\(a_2 = a_1 + b_1\)で求められるし、
\(a_3 = a_2 + b_2 = a_1 + b_1 +b_2\)、
\(a_4 = a_3 + b_3 = a_1 + b_1 +b_2 + b_3\)、…で求めることができます。
つまり、元の数列の一般項\(a_n\)は\(\displaystyle a_n = a_1 + b_1+b_2 + \cdots + b_{n-1}=a_1 + \sum_{k=1}^{n-1}b_k\)で求めることができます!
階差数列と一般項
数列\(\{a_n\}\)の階差数列を\(\{b_n\}\)とすると、
\(n \geq 2\)のとき \(\displaystyle a_n =a_1 + \sum_{k=1}^{n-1}b_k\)
階差数列の一般項\(b_n\)は\(b_n = a_{n+1}-a_n\)で求められることと、\(\sum\)の中身はその\(b_n\)の\(n \rightarrow k\)としたものだ、ということは確認しておいてください。
ここでポイントになるのは、この階差数列を使って一般項\(a_n\)を求める方法では\(n \geq 2\)という条件がつく、という点です。
\(n=1\)のときは階差数列\(\{b_n\}\)が定義できず、上記の公式が使えないからです。
もしくは、\(n=1\)のときは「\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}b_k\)の部分が\(\displaystyle \sum_{k=1}^{0}b_k\)となるのでおかしいですよね」と言ってもいいんですが、これはあくまで式の見た目上の話です。
それよりも、階差数列を使って一般項を求める際には記述上気をつけないといけない部分があって、そっちの方が問題です。
階差数列を解く際のポイント
階差数列は解答の書き方が重要です。
それでは、冒頭の例題を解きながら解答の書き方のポイントを押さえていきましょう。
問.次の数列の一般項\(a_n\)を求めよ。
\( 2, 3, 7, 16, 32, 57, \cdots\)
(解答)
階差数列は\(1, 4, 9, 16, 25, \cdots\)、つまり\(1^2, 2^2, 3^2, 4^2, 5^2, \cdots\)
よって、階差数列の一般項は\(b_n = n^2\)。
したがって、\(n \geq 2\)のとき、…(※1)
\(\displaystyle a_n = 2 + \sum_{k=1}^{n-1}k^2\)
\(\displaystyle \quad = 2 + \frac{1}{6}n(n-1)(2n-1) \)
\(\displaystyle a_n = \frac{1}{3}n^3 -\frac{1}{2}n^2 + \frac{1}{6}n + 2\)
初項は\(a_1 =2\)なので、この式は\(n=1\)のときも成り立つ。…(※2)
したがって、一般項は\(\displaystyle a_n = \frac{1}{3}n^3 -\frac{1}{2}n^2 + \frac{1}{6}n + 2\)…(答)
解答上のポイントは、
①(※1)について、あくまで階差数列を使った公式は\(n \geq 2\)のときに使えるものだ、というのを明記しておきましょう。
数学の解答は論理性が重要です。「\(n=1\)のときは階差数列が定義できないよね?」というツッコミを受けるような解答の書き方はマズイ、ということですね。
②(※2)について。「じゃあ\(n \geq 2\)で求めた一般項\(a_n\)は\(n=1\)のときには使えないのか?」と言われると、そうではありません。
「\(n=1\)のときは\(2\)、\(n \geq 2\)のときは\(\displaystyle a_n = \frac{1}{3}n^3 -\frac{1}{2}n^2 + \frac{1}{6}n + 2\)」と言っても問題はないのですが、\(\displaystyle a_n = \frac{1}{3}n^3 -\frac{1}{2}n^2 + \frac{1}{6}n + 2\)が\(n=1\)で成り立つなら、こんな場合分けは無駄ですよね?
面倒な気がしますが、「求めた\(a_n\)は\(n=1\)のときにも使える」という確認をすることで、逆に場合分けの手間を省いています。
確認をしなければ、例えばこの後この数列を使って何か問題を解く場合に、\(n=1\)と\(n \geq 2\)でイチイチ場合分けしないといけません。
それと、計算上のポイントとしては\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}\)を計算するために、\((n-1)\)までの\(\sum\)公式が必要になります。
こちらの記事でも説明しましたが、\((n-1)\)までの\(\sum\)公式も押さえておきましょう。
\(\sum\)公式\((n-1)\)Ver一覧
\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}k = \frac{1}{2}n(n-1)\)
\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}k^2 = \frac{1}{6}n(n-1)(2n-1)\)
\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}k^3 = \Big\{ \frac{1}{2}n(n-1) \Big\}^2 \)
\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}c = (n-1)c\)
\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}ar^{k-1} = \frac{a(r^{n-1}-1)}{r-1}\)(←等比数列の和)
n=1で成り立たないことがある?
結論から言うと\(\displaystyle a_n =a_1 + \sum_{k=1}^{n-1}b_k\)で求めた式が\(n=1\)で成り立たないケースはほぼありません。
階差数列\(\{b_n\}\)が変な形の数列(初項だけ数列の規則に当てはまらない、とか)にならない限りは\(n=1\)でも成り立ちます。
理由は上の公式ですね。
\(\sum\)公式\((n-1)\)Ver一覧(再掲)
\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}k = \frac{1}{2}n(n-1)\)
\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}k^2 = \frac{1}{6}n(n-1)(2n-1)\)
\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}k^3 = \Big\{ \frac{1}{2}n(n-1) \Big\}^2 \)
\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}c = (n-1)c\)
\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}ar^{k-1} = \frac{a(r^{n-1}-1)}{r-1}\)(←等比数列の和)
階差数列を使った一般項の公式は
\(\displaystyle a_n =a_1 + \sum_{k=1}^{n-1}b_k\)
ですが、この\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}b_k\)のところを上記の公式を使って計算するわけです。
一方、これらの公式に\(n=1\)を代入すると左辺は\(\displaystyle \sum_{k=1}^{0}\)となり、ちょっと「?」という感じですが、右辺はすべて0になりますよね?
つまり、\(\displaystyle a_n =a_1 + \sum_{k=1}^{n-1}b_k\)の\(n\)に\(n=1\)を代入したら、\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}b_k\)の部分はほとんどの場合0になります。
すると、\(\displaystyle a_1 =a_1 + 0\)となるので、\(n=1\)のときにも成り立ちます。
ですが、解答には必ず\(n=1\)の確認が必要です。
これは、「そもそも\(n=1\)のときには階差数列が定義できないでしょ?」という点についての確認ですので…。
まとめ
階差数列を使って一般項を求める方法についてでした。
特に解答の書き方、
- \(n \geq 2\)のとき \(\displaystyle a_n =a_1 + \sum_{k=1}^{n-1}b_k\)で計算。
- 計算した式に\(n=1\)を代入して確認→すべての\(n\)について計算した式が使える。
の流れを押さえておいてください。
階差数列はこのあと漸化式を解くときにも結構使います。
ここで慣れておきましょう。