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ベクトルの内積とは?【求め方や証明とイメージ】

ベクトルは便利で重要な考え方ですが、苦手な人が多い分野でもあります。
原因は「イメージ」と「その場での思考」が重要だからです。

その状況に応じた対応って苦手…。
ですが、その分覚えることも少ないですし、基本的なイメージをしっかりと掴むことができればあとはちょっと練習するだけでベクトルの理解はかなり深まります。



要は最初の本質部分が大事!
「ベクトルは感覚だ!」
この記事では、わかりそうでわからないベクトルの内積について、定義や求め方などの説明をしていきます。
内積とは?



ふむふむ…なるほど…。深いわぁ…。



はなこさん、何読んでるの?



たろう君…。



ん?



「愛」の反対って…なんだと思う?



え…なに?いきなりその質問…。えーっと…「あいつ、ムカつくぜ!」とか?



ふ…そこで会話文が出てくるところがアナタのレヴェルの低さなのよ…。
エリ・ヴィーゼル氏曰く、「愛の反対は憎しみではない。無関心」よ。
まぁ、私は教養のないアナタなんかに関心は無いですけどね。
さ、勉強しなきゃ。



(ボクに対して無関心だ…)
ということで(?)内積です。
ベクトルの和や差、実数倍なんかを勉強したら、やはり次に考えたくなるのは、
「積(掛け算)」
ですよね。
ただ、ベクトルは「大きさ」に加えて「向き」の要素を持ちます。
なので「掛け算」といっても、例えば単純に大きさ同士を掛けるのではあまり上手い定義の仕方とは言えません。「向き」の要素が考慮されないからです。



ということで、内積の定義2パターンを押さえていきましょう。
定義1.図を使った定義
図形的な性質を使った定義
\( \overrightarrow{a}\)と\( \overrightarrow{b}\)の成す角(\(0° \leq \theta \leq 180°\))とすると、内積\( \overrightarrow{a} \cdot\overrightarrow{b}\)は次のように計算できる。
\(\overrightarrow{a} \cdot\overrightarrow{b} = |\overrightarrow{a}||\overrightarrow{b}| \cos{\theta}\)
定義2.成分表示を使った定義
成分表示を使った定義
\(\overrightarrow{a}=(a_1, a_2)\)と\( \overrightarrow{b}=(b_1, b_2)\)の内積\( \overrightarrow{a} \cdot\overrightarrow{b}\)は次のように計算できる。
\( \overrightarrow{a} \cdot\overrightarrow{b}=a_1 b_1 + a_2 b_2\)
内積の求め方については、上記の2つの計算方法を押さえておけばOKです。
どちらも内積の定義として重要です。図形的なアプローチと成分的なアプローチ…イメージ的には別々のアプローチが結びついた感じですが、そのあたりの細かいことはとりあえず置いておいて、しっかり押さえておきましょう。
おまけ.空間(3次元)における内積
空間における内積も定義は同じです。
図形的な性質を使った定義
\( \overrightarrow{a}\)と\( \overrightarrow{b}\)の成す角(\(0° \leq \theta \leq 180°\))とすると、内積\( \overrightarrow{a} \cdot\overrightarrow{b}\)は次のように計算できる。
\(\overrightarrow{a} \cdot\overrightarrow{b} = |\overrightarrow{a}||\overrightarrow{b}| \cos{\theta}\)
成分表示を使った定義
\(\overrightarrow{a}=(a_1, a_2, a_3)\)と\( \overrightarrow{b}=(b_1, b_2, b_3)\)の内積\( \overrightarrow{a} \cdot\overrightarrow{b}\)は
\( \overrightarrow{a} \cdot\overrightarrow{b}=a_1 b_1 + a_2 b_2 + a_3 b_3\)



実際には空間における成す角は求めることが難しいので、成す角が与えられていないと図形的な性質を使った定義での計算は難しいです。
成分表示は\(z\)成分が加わっただけなのでわかりやすいですね!
内積の図形的な意味って?
冒頭でも話をしましたが、内積はベクトルの掛け算なので、「向き」も考慮したいところです。
特に、内積の図形的な性質を使った定義に「向き」を考慮した計算イメージをもたせることもできます。内積の図形的な意味は次のようなイメージです。


相手のベクトルに影を落とすように垂線を下ろして(正射影という)、その長さと相手のベクトルの長さを掛ける感じです。
\( | \overrightarrow{a} | \cos{\theta}\)や\( | \overrightarrow{b} | \cos{\theta}\)の図形的な意味がわかりにくい、という人はこちらの記事もあわせて読んでみてください。





このように、内積は「相手がもつ自分方向の要素を掛ける」という「向き」を考慮した計算方法だ、ということがわかります。
内積の性質と証明
内積は、以下のようないくつかの性質があります。
性質①
\(-|\overrightarrow{a}||\overrightarrow{b}| \leq \overrightarrow{a} \cdot\overrightarrow{b} \leq |\overrightarrow{a}||\overrightarrow{b}|\)
これは、\(\overrightarrow{a} \cdot\overrightarrow{b} = |\overrightarrow{a}||\overrightarrow{b}| \cos{\theta}\)で\( -1 \leq \cos{\theta} \leq 1\)だからですね。内積は最小で大きさ同士を掛けたものにマイナスをつけたもの、最大でも大きさ同士を掛けたもの、になります。
性質②
\(\overrightarrow{a} \neq \overrightarrow{0}\)、\(\overrightarrow{b}\neq \overrightarrow{0}\)のとき、
\( \overrightarrow{a} \cdot\overrightarrow{b}=0 \Leftrightarrow \overrightarrow{a} \perp \overrightarrow{b} \)
ベクトルの垂直条件ですね。\(\cos{90°}=0\)なので、「内積=0のとき垂直」だし「垂直のとき内積=0」になります。
「内積=0のとき垂直」というのは図形の特徴として重要ですし、覚えやすいですし、計算した結果こうなるというケースが結構あるので、内積の性質の中でも最重要事項です。



反対向きの要素を持ったベクトル同士の内積の値は「ー(マイナス)」になるけど、垂直同士は互いに無関心(お互いの方向の要素を持っていない)だから「内積=0」になるのよ。
性質③
\( \overrightarrow{a} \cdot\overrightarrow{a} = |\overrightarrow{a}||\overrightarrow{a}| \cos{0°}= |a|^2\)
これも地味ですが、かなり重要です。自分自身との内積を計算すると大きさの二乗になる、という性質です。
つまり、内積と大きさの二乗は密接に関係していて、内積があれば大きさを求めることができるし、逆に大きさから内積を計算することもできます。
性質④
- \( \overrightarrow{a} \cdot\overrightarrow{b}=\overrightarrow{b} \cdot \overrightarrow{a} \)
- \( (k\overrightarrow{a}) \cdot\overrightarrow{b}=\overrightarrow{a} \cdot (k\overrightarrow{b})=k(\overrightarrow{a} \cdot\overrightarrow{b}) \)
- \( \overrightarrow{a} \cdot (\overrightarrow{b}+\overrightarrow{c}) = \overrightarrow{a} \cdot\overrightarrow{b} +\overrightarrow{a} \cdot\overrightarrow{c}\)
交換法則、実数倍、分配法則が成り立ちます。要は、普通の積の要領で計算していい、ということです。



慣れれば展開公式を使うようにどんどん内積の計算ができるようになります。
まとめ
今回は内積について解説しました。
内積は「こんなもんかぁ…」くらいにしか思わない部分ですが、ちょっと掘り下げるとベクトル特有の性質がありますので、しっかり基本を押さえておきましょう。

