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確率統計「事象(確率変数)の独立」とは?わかりやすく説明!
確率を考えるとき、複数の確率変数を考える場合があります。例えば、
「サイコロを振って出た目を\(X\)、続いてコインを投げて表が出たら\(Y=1\)、裏が出たら\(Y=0\)とする。」
といった具合ですね。
このように、複数の確率変数を扱うときに重要な考え方になるのが、「確率変数が独立かどうか?」です。
この記事では確率の独立の意味と定義について解説していきます。
独立とは?定義は?
ふんふん…♪
やけに機嫌がいいですね。どうしました?
ふ…数学なんかチョロいもんですよ、さっきの授業、完璧でしたよ。
あぁ、確率変数の「独立」でしたね。わかったんですか?
二つの確率変数が「独立してるかどうか?」ですよね?そんなもん、考えたらわかりますよ!
ほう…。じゃあ次の事象(確率変数)は独立ですか?
サイコロを振って出た目を\(X\)、続いてコインを投げて表が出たら\(Y=1\)、裏が出たら\(Y=0\)とする。
簡単ですよ。サイコロとコインは「関係ない」んだから、「独立」ですよ。
ふむふむ。じゃあ次の事象はどうですか?
サイコロを振って出た目が3以上である事象 \(A\)と、出た目が偶数である事象\(B\)
ん?サイコロの目が3以上であることと偶数であることって、お互い関わりがあるじゃないですか…。「3以上で偶数の目」って、4とか6とか…。だから、「独立でない(=従属)」ですね!
ふーん…。へー…。ほー…。
え?違うの?だっていかにも関係ありそうじゃないですか…。
二つの事象(確率変数)が独立、とは次の関係が成り立つことを言います。
二つの事象\(A\)、\(B\)が独立とは次の式が成り立つことを言います。
\(P(A \cap B) = P(A)P(B)\)
また、二つの確率変数\(X\)と\(Y\)が独立とは次の式が成り立つことを言います。
任意の\(x\)、\(y\)について、
\(P(X=x \cap Y=y) = P(X=x)P(Y=y)\)
確かに授業ではそう習いましたけど…。「無関係だったら独立」じゃダメなんですか?
ちょっと微妙な解釈ですね…。
しっかりと上記の計算で確認する必要がある場合があります。
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無関係な場合は独立
とはいえ、太郎君が言うように「無関係だったら独立」というイメージは間違っていません。
「サイコロとコイン」のように全く無関係な事象、や「サイコロの1回目振ったときの目と2回目振ったときの目」のようにお互いに影響がない事象、などは独立です。
例.
サイコロの目\(X\)と、コインが表だったら\(Y=1\)、裏だったら\(Y=0\)という事象は任意の変数の組み合わせで、
\(\displaystyle P(X=x)P(Y=y)=\frac{1}{6} \cdot \frac{1}{2} = \frac{1}{12}\)
となります。
一方、\(P(X=x \cap Y=y)\)は、
\(Y=0\) | \(Y=1\) | |
\(X=1\) | \( \frac{1}{12}\) | \( \frac{1}{12}\) |
\(X=2\) | \( \frac{1}{12}\) | \( \frac{1}{12}\) |
\(X=3\) | \( \frac{1}{12}\) | \( \frac{1}{12}\) |
\(X=4\) | \( \frac{1}{12}\) | \( \frac{1}{12}\) |
\(X=5\) | \( \frac{1}{12}\) | \( \frac{1}{12}\) |
\(X=6\) | \( \frac{1}{12}\) | \( \frac{1}{12}\) |
表のどのマスも同様に確からしい確率で起きるので、それぞれ\(\displaystyle \frac{1}{12}\)となります。
\(P(X=x \cap Y=y) = P(X=x)P(Y=y)\)となるので、確かに独立です。
こちらは直感的に理解していいかな、と思います。
関係ありそうでも独立の場合がある
ただ、逆の場合「関係ありそうだったら独立ではない」はよく調べないといけないんですよね。
え?そうなんですか?
先ほど、先生があげた例「サイコロを振って出た目が3以上である事象 \(A\)と、出た目が偶数である事象\(B\)」を考えてみましょう。
サイコロを振って出た目が3以上である事象 \(A\)の確率\(P(A)\)は、3、4、5、6の目が出るときなので、
\(\displaystyle P(A)=\frac{4}{6}=\frac{2}{3}\)
サイコロを振って出た目が偶数である事象\(B\)の確率\(P(B)\)は、2、4、6の目が出るときなので、
\(\displaystyle P(A)=\frac{3}{6}=\frac{1}{2}\)
よって、\(\displaystyle P(A)P(B)=\frac{2}{3} \cdot \frac{1}{2} = \frac{1}{3}\)
一方、事象\(A \cap B\)はサイコロの目が3以上かつ偶数、つまり4、6の目が出るときなので、
\(\displaystyle P(A \cap B) = \frac{2}{6} = \frac{1}{3}\)
したがって、\(P(A \cap B) = P(A)P(B)\)が成り立つので、\(A\)、\(B\)は独立。
あら?いかにも関係ありそうな事象なのに独立なんですか?
そうですね。こういうときは実際に計算して調べてみないとわかんないんですよね…。
同じような事象で、「サイコロを振って出た目が4以上である事象 \(A\)と、出た目が偶数である事象\(B\)」を考えてみましょう。
サイコロを振って出た目が4以上である事象 \(A\)の確率\(P(A)\)は、4、5、6の目が出るときなので、
\(\displaystyle P(A)=\frac{3}{6}=\frac{1}{2}\)
サイコロを振って出た目が偶数である事象\(B\)の確率\(P(B)\)は、2、4、6の目が出るときなので、
\(\displaystyle P(A)=\frac{3}{6}=\frac{1}{2}\)
よって、\(\displaystyle P(A)P(B)=\frac{1}{2} \cdot \frac{1}{2} = \frac{1}{4}\)
一方、事象\(A \cap B\)はサイコロの目が4以上かつ偶数、つまり4、6の目が出るときなので、
\(\displaystyle P(A \cap B) = \frac{2}{6} = \frac{1}{3}\)
したがって、\(P(A \cap B) \neq P(A)P(B)\)が成り立つので、\(A\)、\(B\)は独立でない(=従属である)。
あら?似たような事象だけど、今度は独立じゃなくなった…。
やっぱり定義にしたがって計算してみないとわからない、ということですね。
まとめ
事象(確率変数)の独立について説明しました。
独立であるかどうか?というのは記事の例のように、結構調べにくいです。
ただ、独立であることがわかれば「期待値の積」や「分散の和」が計算できるなど、便利な性質が利用できるので、独立かどうか?は重要です。