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確率変数の和の分散はどうなる?必要な条件も解説
確率変数の分散についてはこちらで解説をしました。
変数変換で分散がどうなるか?については説明しましたが、今回は「確率変数の和」で分散がどうなるか?について、です。
このあとの二項分布の分散の話にも関わってくるので、上記の記事と一緒に分散の基本を押さえておきましょう!
確率変数の和の分散
…。
(コソコソ…)
なにをコソコソしてるんですか?
(ビクッ!!)いえ、なんか僕の「せんせいに捕まるんじゃないか」センサーが反応しまして…。
その通りです。さっきの時間は途中で「ハチが教室に入ってくる騒動」が起きたのでろくに授業ができませんでした。よって、放課後補習です。皆に伝えといてください。
いやですよぅ…補習なんて…。
キリが悪いんですよ。すぐに済むので、放課後すぐに補習しますよ。
はーい…。確か「確率変数の和の分散」でしたよね?
ということで、今回はあまり沢山やりません。今後に繋がる「確率変数の和の分散」の話です。
確率変数の和の分散がどうなるか?を確認して証明します。
確率変数の条件も必要になるので、そこだけは注意をしておいてください。
確率変数の和の分散
確率変数\(X\)と\(Y\)について、\(X\)と\(Y\)は独立であるとする。
\(X\)の分散を \(V(X)\)、\(Y\)の分散を \(V(Y)\)とすると、\(X+Y\)の分散\(V(X+Y)\)は
\(V(X+Y)=V(X)+V(Y)\)
となる。
ん…?これだけ?なんだか結果も当たり前な感じがするんですが…。
これだけです!でも結果は実は当たり前ではありません。証明もしますが、今回の話は「次につながる前哨戦」。いわば前菜のようなものだと思っておいてください。
「\(X\)と\(Y\)は独立である」ことが重要です。「変数の独立」についてはこちら。
(証)
\(V(X+Y)=E((X+Y)^2-\{ E(X+Y) \}^2\)(←この計算方法についてはこちらをご覧ください。)
\(\quad = E(X^2+2XY+Y^2)-\{ E(X)+E(Y) \}^2\)
\(\quad = E(X^2) + E(2XY) + E(Y^2)-\{ E(X) \}^2-2E(X)E(Y)- \{ E(Y) \}^2\)
\(\quad = E(X^2) + 2E(X)E(Y) + E(Y^2)-\{ E(X) \}^2-2E(X)E(Y)- \{ E(Y) \}^2\)(←ここで「独立」が効いてくる。独立じゃないと\(E(XY)=E(X)E(Y)\)と変形できない。)
\(\quad = E(X^2)-\{ E(X) \}^2 + E(Y^2)- \{ E(Y) \}^2\)
\(\quad = V(X) + V(Y)\)(終)
はぁ…独立じゃないと計算途中で上手く変形できないんですね。
そうです。ですので、この確率変数の和の分散は当たり前のように見えるんですが、実は独立でないと、この変形はできないと知っておいてください。
まとめ
今回は次に繋がる「確率変数の和の分散」がどうなるか?について説明しました。
これで、統計の話をする前段階の基本的なツールは揃いました!
次回からはいよいよ統計の基本「二項分布」について説明していきます。