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漸化式を特性方程式を使って解く!【超重要な方法を丁寧にわかりやすく】
こちらの記事でも紹介しましたが、漸化式の重要な形、
\(a_{n+1} = pa_n+q\)
の解き方について説明していきます。
特性方程式や今後につながる漸化式の式変形のスタンスまでサクッと丁寧に解説していきます。
特性方程式とは?
今回は茶番なし!こちらの記事で説明した
\(a_{n+1} = pa_n +q\)の形の漸化式の解き方を説明していきます。
例.\(\begin{cases}
a_{n+1}= 3a_n+4\\
a_1 = 1
\end{cases}\)
この漸化式を解いていきますが、実はこの漸化式、このままでは解けないので「ある変形」をしていきます。
いきなりですが、与えられた漸化式の
\(a_{n+1} \rightarrow \alpha\)、\(a_{n} \rightarrow \alpha\)とおいた方程式、
\(\alpha = 3 \alpha + 4\)
を解きます。これを解くと\(\alpha = -2\)となります。
…?なにやってんの?
この\(\alpha\)の値を使えば、与えられた漸化式が
\(a_{n+1}-\alpha = 3(a_n- \alpha) \)
の形に変形できるのです!今回は\(\alpha = -2\)なので、
\(a_{n+1}+2 = 3(a_n+2) \)…※
となります!
まぁ確かに展開すればすぐに元の\(a_{n+1}= 3a_n+4\)と同じ式になるってのは確認できるけど…。
そして\(a_n+2=b_n\)と置くと、\(b_{n+1} = a_{n+1} + 2\)となります。
よって、※は
\(b_{n+1} = 3b_n\)
となるので、等比数列として一般項を求めることができるのです!
\(\{b_n\}\)の初項は\(b_1 = a_1 + 2 = 1+2=3\)
公比3の等比数列なので、
\(b_n = 3\cdot 3^{n-1}=3^n\)
\(a_n + 2 = 3^n\)
\(a_n = 3^n-2\)…(答)
と、解けるのです!!
は…?はぁ…?…ん?なにやってんの?
…ですよね。
少し詳しく説明していきましょう。
特性方程式は漸化式を変形させるために重要
実は漸化式には他の分野にあまり無い考え方で式変形をすることがあります。それは…
「こういう式の形だったら嬉しいな!」
という自分の都合のいい結果に式変形する、という考え方です。
今回のテーマである\(a_{n+1} = p a_n +q\)の形はこのままでは解けない、非常に都合の悪い形です。
ではどうするか?というと、
\(a_{n+1}-\alpha = p(a_n-\alpha ) \)の形に変形できれば都合いいですよね!
なぜならば、\(a_n-\alpha=b_n\)と置けば、\(b_{n+1} = a_{n+1}-\alpha\)だから、この漸化式は\(b_{n+1} = p b_n\)となり「\(\{b_n\}\)が等比数列」として処理できるからです。
はぁ…まぁそりゃそう変形できればありがたいですけどね…。
無理矢理でもなんでもいいから自分の都合のいい形に変形する!これが実は漸化式の変形のコツなんです。
ということで、上手く\(a_{n+1}-\alpha = p(a_n-\alpha ) \)の形に変形できるような\(\alpha\)を見つけていきましょう。
\(a_{n+1}-\alpha = p(a_n-\alpha ) \)を展開してまとめると、
\(a_{n+1} = pa_n-p\alpha+\alpha \)となります。
これが元の漸化式\(a_{n+1} = p a_n +q\)と等しいので、定数項部分を比較して
\( q = -p\alpha+\alpha \)。このままでもいいのですが、移項して
\( \alpha = p\alpha+ q \)
とすると、ちょうど元の漸化式の\(a_{n+1} \rightarrow \alpha\)、\(a_{n} \rightarrow \alpha\)と置いた方程式の形になります。
この方程式を解けば、\(a_{n+1} = p a_n +q\)を\(a_{n+1}-\alpha = p(a_n-\alpha ) \)の形に変形するための\(\alpha\)の値を求めることができます。
この方程式\( \alpha = p\alpha+ q \)を特性方程式といいます。
この特性方程式の解\(\alpha\)を使って元の漸化式を変形する、というところがポイントです!
問.\(\begin{cases}
a_{n+1}= a_n + 2n -1\\
a_1 = 1
\end{cases}\)について、漸化式\(a_{n+1}= a_n + 2n -1\)を
\(a_{n+1} – p(n+1)(n+1+q) = a_n – pn(n+q) \)と変形できるような\(p\)、\(q\)の値を求めよ。
また、この変形結果を用いて\(a_n\)の一般項を求めよ。
答え
\(p=1,q=-2\)、\(a_n = n^2-2n+2\)
特性方程式を使って漸化式を解いてみよう
もう1問だけ解いてみます。今度は解答のコツを説明していきます。
例.\(\begin{cases}
a_{n+1}= 2a_n-3\\
a_1 = 4
\end{cases}\)を解け。
いきなりですが、特性方程式は解答の中に残す必要はありません。
「特性方程式を立式して解く」という作業は超重要ですが、あくまで自分の都合の良い形に変形するためのものなので、あまり論理的な解答の流れとは関係ないんですよね…。
ということで、解答欄外で解いて、しれっと変形するところから始めましょう。
- 特性方程式を解く
- 漸化式を変形する
- 変形した漸化式を解く
の手順で解いていきます。
①\(a_{n+1} \rightarrow \alpha\)、\(a_{n} \rightarrow \alpha\)と置いた方程式、\(\alpha = 2\alpha -3\)を解くと、\(\alpha = 3\)となります。
(解答)
\(a_{n+1}= 2a_n-3\)より、\(a_{n+1}-3= 2(a_n-3)\)。
(↑②いきなり変形します。採点する人も「…まぁ式変形的に間違ってないよね」というスタンスです。)
数列\(\{ a_n -3 \}\)は、
(↑③解きます。最初の例では\(a_n -3 =b_n\)のように置き換えてましたが、できれば置き換えない方がいいです。1.置き換えると手間。しかも難しい漸化式だとここに来るまでに置き換えてる可能性があるので訳わかんなくなる。2.初項を求めるときに間違う可能性がある。\(b_1 = 4\)←\(a_1\)と勘違いするかも。)
初項\(a_1 -3 = 4 -3 = 1\)、公比2の等比数列。
(↑初項はあくまで\(a_1 -3\)。\(a_1\)ではないので注意。)
よって、\(a_n -3 = 1 \cdot 2^{n-1}\)。
\(a_n = 2^{n-1} + 3\)…(答)
最初は時間がかかりますが、慣れればすぐに解けるようになります!ていうか、すぐに解けるようになるまで練習してください。難しい漸化式はこのパターンに帰着されることが多いので、この計算に手間取ると面倒です。
問.次の漸化式を解け。
(1) \(\begin{cases}
a_{n+1}= -2a_n+3\\
a_1 = 3
\end{cases}\)
(2) \(\begin{cases}
2a_{n+1} – 4a_n -1 = 0\\
a_1 = -1
\end{cases}\)
答え
(1) \(a_n = (-1)^{n-1}\cdot 2^n +1\)
(2) \(\displaystyle a_n = -2^{n-2}-\frac{1}{2}\)
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おまけ
特性方程式を使わなくても、\(n\)をひとつ進めた式を使えば漸化式を解くことができます。
ただし、階差数列を使うことになるので解答の書き方としてはちょっと面倒です。ですが、誘導で階差数列にもっていかれるパターンもありますので、一度やってみてください。
例.\(\begin{cases}
a_{n+1}= 3a_n+4\\
a_1 = 1
\end{cases}\)
(解答)
\(a_{n+1}= 3a_n+4\)…① より、
\(a_{n+2}= 3a_{n+1}+4\)…②
②ー①
\( a_{n+2} – a_{n+1} = 3(a_{n+1}-a_n) \)
\(a_{n+1}-a_n=b_n\)とおくと、\(b_{n+1} = 3b_n\)
\( \{ b_n \} \)は初項\(b_1 = a_2 -a_1 = 3a_1+4-a_1 = 2a_1+4 = 6\)、公比3の等比数列なので、
\(b_n = 6\cdot 3^{n-1}\)
\( \{ b_n \} \)は\( \{ a_n \} \)の階差数列なので、\(n \geq 2\)のとき、
\(\displaystyle a_n = a_1 + \sum_{k=1}^{n-1}6\cdot 3^{k-1} = \cdots = 3^n-2\)
これは\(n=1\)のときも成り立つ。よって\(a_n = 3^n-2\)…(答)
漸化式の解き方は1通りではない、ということですね。でも、階差数列は\(\sum\)計算が必要なのと、解答の書き方が面倒なので、できれば避けたいですね…。
まとめ
超重要な、特性方程式を使って解く漸化式についてでした。
解き方も重要ですが、特性方程式を使って「自分の都合のいい形に変形しよう」という発想は早めに身につけておいてください。