PR
対数関数のグラフで押さえておくべき重要な性質3選
対数関数のグラフは単純な形をしていますが、実は重要な性質が隠れています。
この記事では、対数関数のグラフの重要な特徴について説明していきます。
対数関数のグラフ
ふっ…今日の「対数関数のグラフ」の授業は簡単だったな。いや、もうこの天才にあの程度の単純なグラフのことなんざ、一瞬で理解可能だね。
お、なんか今日はイキイキしてますね。
ふっ…せんせい…あんな単純な曲線、この僕にとっては朝飯前ですよ。なんてったって右上がりか右下がりかしかないんでしょ?二次関数や三角関数に比べたら楽勝ですよ。
右上がりになるときと右下がりになるときって何が違うの?
フハハハ!!僕をなめてもらっちゃ困りますよ!前回の指数関数のグラフでの反省を活かしてバッチリ押さえていますよ!「底」が1より大きいか?小さいか?でしょ!?
お、素晴らしい。じゃあ真数条件がなぜ重要なんですか?
え…?真数条件がなぜ重要?なぜ…?理由?
えー…真の数としての威厳といいますか…そんな感じですよね。
真の数ってなんだよ。
ということで対数関数のグラフです。
たろうくんが言うように対数関数のグラフは単純な形をしていますが、実はいくつか重要な特徴があります。
対数関数のグラフ
対数関数\(y = \log_{a}x\)が表すグラフは次のようになる。ただし、底\(a\)は\(0 < a < 1\)または\(1 < a\)とする。
対数関数のグラフの特徴
対数関数のグラフにはいくつか押さえておくべき特徴があります。
これは、グラフというよりも、このあとの対数方程式・不等式などの問題を解く際によく使う性質になります。
グラフの形をアタマに入れておきながら、方程式や不等式を解く際にサッと対数関数の性質が出せるようにしておきましょう。
1.必ず点(1,0)を通る
これはわかりやすいです。どんな対数関数\(y = \log_{a}x\)でも、\(0=\log_{a}1\)となるので、必ず点\( (1,0) \)を通ります。
2.x>0、y軸が漸近線
これは結構重要です。
冒頭で先生が言っていましたが、\(y = \log_{a}x\)には真数条件(\(x\)の部分を真数という)があります。この真数は必ず正の値である、というのが真数条件です。
つまり、\(x > 0\)となるので、関数でいえば「定義域」となります。
定義域はグラフにおいて最重要項目の1つです!「定義域があるのか?ないのか?」「どの範囲なのか?」「定義できないところがないか?(今回はコレ)」は常に意識しましょう。
3.底a>1で単調増加、0<a<1で単調減少
かなり重要です。
このあと対数不等式を解く際に、必ず押さえなければいけないポイントになってきます。
なぜなら\( \log_{a}p > \log_{a}q\)という不等式が与えられた場合、真数部分\(p\)、\(q\)の大小関係が
「そのまま\(p>q\)」となるか?「ひっくり返って\(p < q\)」となるか?は
底\(a\)が\(a>1\)なのか\(0 < a < 1\)なのかによるからです。
「対数関数の比較」↔「真数部分の比較」のタイミングで底\(a\)の値が1より大きいか?小さいか?を言いましょう。
おまけ1.指数関数とy=xについて対称
これは数学Cで習いますが、指数関数と対数関数は逆関数の関係(\(x\)と\(y\)を入れ替えた関数)になります。
なので、\(y=x\)のグラフに関して対称になります。(説明は省きますが、逆関数のグラフはお互い\(y=x\)に関して対称という性質があります。)
ということで、指数関数のグラフと対数関数のグラフは\(x\)と\(y\)を入れ替えたもので、その性質も\(x\)と\(y\)を入れ替えたものになります。
ここまでの性質も、よく見ると指数関数のグラフの特徴を\(x\)と\(y\)を入れ替えたものです。指数関数と対数関数は、お互いに鏡の世界の向こう側…みたいな存在なんです。
おまけ2.底による対称性
これは「関数の性質」から言える対数関数の特徴です。
よく言われる性質ですが、\(y = \log_{a}x\)と\(\displaystyle y = \log_{\frac{1}{a}}x\)は\(x\)軸対称です。
例.\(y = \log_{2}x\)と\(\displaystyle y = \log_{\frac{1}{2}} x\)は\(x\)軸対称。
これは
\(y = \log_{a}x\)としたとき、\(y\)→\(-y\)と置き換えたら、
\(-y=\log_{a}x\)
\(\displaystyle y=-\log_{a}x=-\frac{\log_{\frac{1}{a}}x}{\log_{\frac{1}{a}}a}=\frac{\log_{\frac{1}{a}}x}{-\log_{\frac{1}{a}}a}\)
\(\displaystyle \quad =\frac{\log_{\frac{1}{a}}x}{\log_{\frac{1}{a}}a^{-1}}\)
\(\displaystyle \quad =\log_{\frac{1}{a}}x\)(←\(\displaystyle \log_{\frac{1}{a}}a^{-1}=\log_{\frac{1}{a}}\frac{1}{a}=1\)なので)
となるからです。
ちょっとわかりにくいですが、\(y\)→\(-y\)にすると、\(x\)軸を挟んで反対にひっくり返した、という意味になります。
それが\(\displaystyle y =\log_{\frac{1}{a}}x\)と一致する、ということは\(y=\log_{a}x\)と\(\displaystyle y =\log_{\frac{1}{a}}x\)は\(x\)軸対称、ということになるんですね。
対称性についてはコチラの記事もあわせてご覧ください!
おまけ3.対数関数のxを「底のべき乗倍」したら平行移動!?
マニアックな感覚です。
タイトルがわかりにくいですが、つまり\(y = \log_{a}x\)に対して、
\(y = \log_{a}(a^p \cdot x)\)を考えよう、
ということです。
\(x\)を実数倍しているので、グラフの感覚で言えば「\(x\)軸(縦)方向に伸ばすor縮める」という感じになります。
が、同時にこれが\(y\)軸方向の平行移動を表しています。
これは、\(y = \log_{a}(a^p \cdot x)=\log_{a}x + \log_{a}a^p = \log_{a}x + p\)となるからです。
横に伸ばしたり縮めたりしているのに、縦方向の平行移動、つまり全体としてみると形が変わっていない、というのは面白い感覚ですね。実際に使うか…と言えば、微妙ですが笑
ちなみに指数関数のグラフの記事に合わせて、綺麗に\(p\)だけ平行移動するように\(a^p \cdot x\)としましたが、もちろんただの\(k\)倍(\(k \cdot x\))でも問題ありません。
\(y = \log_{a}(k \cdot x)=\log_{a}x + \log_{a}k \)(←「\(\log_{a}k \)だけ平行移動」となるだけ)
【補足】
\(x\)を\(a^p\)倍すると\(a>1\)(かつ\(p>0\))のとき、横に縮む感じになります。
例.\(y=\log_{2}(2^2 x)\)などは\(y=\log_{2}x\)を横に縮めたイメージ。
なんとなく\(2^2\)倍しているので感覚的に横に広がる気がしますが、例えば\(x=1\)のときには\(y=\log_{2}(2^2 \cdot 1)=\log_{2}4\)となります。
つまり、\(x=1\)のときに、\(y=\log_{2}x\)でいうところの\(x=4\)が来ている感じになります。
対数関数のグラフまとめ
対数関数のグラフについてでした。
対数関数のグラフは単純な形ですが、対数方程式や不等式を解く際のポイントとなる特徴があるので、そこを押さえておくことは重要です。
グラフをかく、というよりも、このあとの方程式や不等式の話をするためにパッと対数の特徴が出てくるようにしておきましょう。