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たすき掛けはなぜうまくいく?因数分解のしくみと組み合わせを早く見つけるコツ

因数分解で出てくる「たすき掛け」。
数字を斜めに掛けて足す…という手順は覚えたものの、「なんでこんな書き方をするの?」「組み合わせが全然見つからない…」と悩む人も多いと思います。
この記事では、たすき掛けの方法やコツ、なぜ因数分解できるのかの仕組みまで説明します。
デカ丸この記事読んで、たすき掛けマスター!
たすき掛けとは?



よし!体育祭の応援団の練習にいくぞ!



…たろうくん、あんた、そのたすきグチャグチャじゃない



え?ホントに?いや、これ長いからさ、わかりにくいんだよね



たすき掛けはまず端っこを確認しなきゃ。で、真ん中を押さえるのよ。



なるほど!やってください!



…は?



あれ?結び直してくれないの?優しさが欲しい…


たすき掛けは因数分解するための技術ですが、「やり方が複雑でわかんない」「…結局なにやってんの?」と思う人も多いと思います。



最終的には因数分解ができればOKなんですが…笑
コツや理屈も説明していきますよ!
結局たすき掛けってなにやってんの?
まず、目標である因数分解した形を考えてみます。 \( ax^2+bx+c=(px+q)(rx+s)\)の形にするのがゴールですね。
で、この右辺の \((px+q)(rx+s)\) を展開してみます。
\((px+q)(rx+s)=prx^2+psx+qrx+qs=prx^2+(ps+qr)x+qs\)
これを左辺の \(ax^2+bx+c\) と見比べると、次の3つがわかります。
- \(x^2\) の係数:\(a=pr\)
- 定数項:\(c=qs\)
- \(x\) の係数:\(b=ps+qr\)
要はこの情報から\(p,q,r,s\)を求めたいんですね。ここから、「掛けて \(a\) になる \(p,r\)」と「掛けて \(c\) になる \(q,s\)」の中から、\(ps+qr=b\) になる組を探します。
このあとは、「\(p,r\)」と「\(q,s\)」の組をテキトーに考えて縦に並べて、たすきに掛けて、掛けたもの同士を足してみる…というあの流れですね。
\[\begin{array}{c@{\;}c@{\;}c@{\quad}c@{\quad}r}p & & q & \longrightarrow & qr \\ & \times & & & \\r & & s & \longrightarrow & \underline{\hphantom{ps+qr}\llap{ps}} \\ & & & & ps+qr\end{array}\]
結局この作業でやってることは、「\((px+q)(rx+s)=prx^2+(ps+qr)x+qs\)」となる「\(p,q,r,s\)」を見つける、というものです。
\(p,q,r,s\)を定めて、\(x^2\)の係数と\(x\)の係数、そして定数項が全部元の式と一致してたらOK、ということですね。
\(p,q,r,s\)が決まったら、たすきに掛けた部分の上の行の左から\(p \rightarrow q\)、下の行の左から\(r \rightarrow s\)と読んで、\((px+q)(rx+s)\)の形にします。
ということで、
- わかりやすい\(x^2\)の係数と定数項から\(p,q,r,s\)の候補を絞る
- たすきに掛けて足す、という計算で\(x\)の係数と一致するか確認する
- 一致したらその\(p,q,r,s\)を使ってできた因数分解された式は元の式と一致してるはず
という理屈でたすき掛けができます。



ちなみに、「なんでたすきに掛けるんじゃい!横に掛けるように並べりゃいいじゃないか!」と思うかもしれませんが、そう並べると、最後のシメ\((px+q)(rx+s)\)の形にするときにわかりにくくなります(逆にココを斜めに読まないといけない)。斜めに掛けるくらいガマンしましょう笑
具体例でたすき掛けをやってみよう
例. \(3x^2+10x+8\) を因数分解せよ。
手順1:\(x^2\) の係数 \(3\) を掛け算に分ける → \(3=3\times1\)
手順2:定数項 \(8\) を掛け算に分ける → \(8=1\times8,\ 2\times4\)(\(b=10\) が正なので、まずは正の数どうしで考える)
手順3:組み合わせを並べて、斜めの積の合計が \(10\) になるものを探す
たとえば\(3,1\)、\(4,2\) にすると、
\[\begin{array}{c@{\;}c@{\;}c@{\quad}c@{\quad}r}3 & & 4 & \longrightarrow & 4\times1=4 \\ & \times & & & \\1 & & 2 & \longrightarrow & \underline{\hphantom{4\times1=4}\llap{3\times2=6}} \\ & & & & 10\end{array}\]
合計が \(10\) になったので成功です。横に読んで \(3x^2+10x+8=(3x+4)(x+2)\)となります。
たすき掛けの組み合わせを早く見つける3つのコツ



…まぁそうなんだけどさ、一度に色々考えないといけないからわけわかんない。
大丈夫です。少しずつ焦点を当てていけばできます!
ただ、それぞれの手順で「先に確認しておくこと」「やっても無駄なこと」を押さえておくと、より素早くたすき掛けができます。



え?やっても無駄なことってあるの…?
コツ1:符号を先に決める
まず符号を意識することです。闇雲に「ー」をつけてもダメです。
aについて
・\(a=p \times r\)は、\(a\) が「ー」だったら…\(p\)か\(r\)のどちらかに「ー」をつけますが、「+」だったら\(p\)と\(r\)のどちらも「+」に固定します。



え?「+」のとき、\(p\)と\(r\)どちらも「ー」ってこともあるんじゃ…
ここが「無駄な候補」ですね。例えば\(p\)と\(r\)どちらも「ー」として無事に
\((-3x+1)(-x+2)\)と因数分解できたとしましょう。
でもこれって、\((-3x+1)(-x+2)=\{-(3x-1)\}\{-(x-2)\}=(3x-1)(x-2)\)と一緒ですよね?
つまり、どちらの\(x\)の係数にも「ー」がつく状態は、結局このあとの\(c=q\times s\)の調整でどうにかなるんです。 \(x\)の係数に無駄に「ー」がついてると式が汚くなるのでやめておこうね、って話です。
cについて
\(c=qs\) と \(b=ps+qr\) から、ある程度「+」「ー」の候補が絞れます。
- \(c\) が正 → \(q,s\) は同じ符号ですが、ここで先に\(x\)の係数\(b\)を見ます。\(b\) が正なら両方「+」、\(b\) が負なら両方「ー」で確定です
- \(c\) が負 → \(q,s\) は片方が「+」、片方が「ー」。ここは\(x\)の係数\(b\)を見ても、計算次第で「+」になるか「ー」になるかはわからないのでとりあえず試す、というパターンですね。
たとえば \(3x^2-7x+2\) なら、\(c=2\) が正で \(b=-7\) が負なので、定数項は「マイナスどうし」で分ければOKです。プラスどうしの組は試す必要がありません。



「+」にしちゃうと、どう頑張ってたすきに掛けて足したところで「ー」にはなりません
コツ2:共通因数を持つ組は最初から外す
元の式の係数 \(a,b,c\) に共通な因数がないとき、因数分解した後の \((px+q)\) や \((rx+s)\) にも共通な因数はありません。もし \(px+q\) が \(2\) でくくれるなら、元の式全体も \(2\) でくくれるはずだからです。
例えば \(6x^2+x-2\) で、\(6\times 1\)、\(2\times(-1)\)として候補を絞ったとしましょう。
ただ、\(6\)と\(2\)を横に並べた形(結果 \((6x+2)\)になる)は、\(2\) でくくれてしまうので答えにはなりません。
横並びで見たとき「これ、くくれそうだなぁ」という並び方は最初からスキップです。
コツ3:結局cで調整する
ということで、基本的に\(c=qs\) で調整していきます。
で、色々と試す前に先に\(x\)の係数\(b\)を、たすき掛けの結果のところに書いておくといいと思います。いちいち計算→\(b\)と合うか確認、よりも\(b\)をその結果のところに書いていたら、だいたい計算の途中で「違うな」って気付きます。
\[\begin{array}{c@{\;}c@{\;}c@{\quad}c@{\quad}r}3 & & & \longrightarrow & \\ & \times & & & \\1 & & & \longrightarrow & \underline{\hphantom{ }} \\ & & & & 10\end{array}\]
そのうえで\(c=qs\)について、
- 符号が確定する場合は確定、どっちかわかんないときは符号「ー」を付け替えてみる
- ダメだったらその候補のまま上下入れ替え
- それでもダメだったら候補自体を変更
例題の \(3x^2+10x+8\) で、真ん中を \(2,4\) の順にすると、斜めの積は \(2\times1=2\) と \(3\times4=12\) で合計 \(14\)。\(4,2\) の順なら合計 \(10\) でした。同じ数の組でも上下で結果が違うので、合わなかったらまず入れかえを試してみてください。
どうしても見つからない…
いくら探しても組み合わせが見つからない式もあります。たとえば \(2x^2+3x-4\) は、整数の範囲では因数分解できません。
二次方程式を解く場面なら、そういうときは無理にたすき掛けを続けず、解の公式に切り替えましょう。



ちなみに、\(b^2-4ac\) が平方数(\(1,4,9,16,\cdots\))になるときだけ、整数の範囲でたすき掛けができます。\(2x^2+3x-4\) は \(9+32=41\) なので、どれだけ探しても見つからないんです


たすき掛けの練習問題
最後に練習問題です。符号の決め方と、共通因数を持つ組を外すコツを意識しながら解いてみてください。
問題1:係数が正のたすき掛け
\(2x^2+5x+3\) を因数分解しなさい。
解答・解説
解答:\((2x+3)(x+1)\)
【解説】\(2=2\times1\)、\(3=3\times1\)。\(b=5\) が正なので、定数項はプラスどうしで分ける。
\[\begin{array}{c@{\;}c@{\;}c@{\quad}c@{\quad}r}2 & & 3 & \longrightarrow & 3\times1=3 \\ & \times & & & \\1 & & 1 & \longrightarrow & \underline{\hphantom{3\times1=3}\llap{2\times1=2}} \\ & & & & 5\end{array}\]
よって \(2x^2+5x+3=(2x+3)(x+1)\)。
問題2:定数項をマイナスどうしで分ける
\(3x^2-7x+2\) を因数分解しなさい。
解答・解説
解答:\((3x-1)(x-2)\)
【解説】\(c=2\) が正、\(b=-7\) が負なので、定数項はマイナスどうしで分ける:\(2=(-1)\times(-2)\)。
\[\begin{array}{c@{\;}c@{\;}c@{\quad}c@{\quad}r}3 & & -1 & \longrightarrow & (-1)\times1=-1 \\ & \times & & & \\1 & & -2 & \longrightarrow & \underline{\hphantom{(-1)\times1=-1}\llap{3\times(-2)=-6}} \\ & & & & -7\end{array}\]
よって \(3x^2-7x+2=(3x-1)(x-2)\)。
問題3:候補が多いたすき掛け
\(6x^2-x-12\) を因数分解しなさい。
解答・解説
解答:\((2x-3)(3x+4)\)
【解説】\(c=-12\) が負なので、定数項は片方がプラス、片方がマイナス。\(6=6\times1,\ 2\times3\) の2通り、\(12=1\times12,\ 2\times6,\ 3\times4\) の3通りと候補が多いので、共通因数を持つ組を外す。
\(6x\) と組める定数は \(1\) だけ(\(2,3,4,6,12\) はどれも \(6\) と共通因数を持つ)。\((6x\pm1)(x\mp12)\) の斜めの積の合計は \(\pm71\) で合わない。
\(2x\) と \(3x\) の組で、\(2x\) に奇数の \(3\)、\(3x\) に \(4\) を合わせると \(\pm(2\times4-3\times3)=\pm(8-9)\) で、\(-1\) にできる。
左の列を \(2,3\)、真ん中の列を \(-3,4\) にすると、斜めの積は \((-3)\times3=-9\) と \(2\times4=8\) で合計 \(-1\)。
\[\begin{array}{c@{\;}c@{\;}c@{\quad}c@{\quad}r}2 & & -3 & \longrightarrow & (-3)\times3=-9 \\ & \times & & & \\3 & & 4 & \longrightarrow & \underline{\hphantom{(-3)\times3=-9}\llap{2\times4=8}} \\ & & & & -1\end{array}\]
よって \(6x^2-x-12=(2x-3)(3x+4)\)。



コツ2の「共通因数を持つ組は外す」を使うと、試す組み合わせがかなり減りますね!
問題4:2つの文字を含むたすき掛け
\(2x^2+3xy-2y^2\) を因数分解しなさい。
解答・解説
解答:\((2x-y)(x+2y)\)
【解説】\(x\) についての2次式とみて、定数項にあたる \(-2y^2\) を \(-y\) と \(2y\) に分ける。
\[\begin{array}{c@{\;}c@{\;}c@{\quad}c@{\quad}r}2 & & -y & \longrightarrow & (-y)\times1=-y \\ & \times & & & \\1 & & 2y & \longrightarrow & \underline{\hphantom{(-y)\times1=-y}\llap{2\times2y=4y}} \\ & & & & 3y\end{array}\]
よって \(2x^2+3xy-2y^2=(2x-y)(x+2y)\)。



文字が2つになっても、片方の文字に注目すれば、やることは同じです
まとめ
たすき掛けは、展開したときの \(x\) の係数 \(ps+qr\) を、斜めの掛け算で計算するための図です。しくみがわかると、組み合わせを探す前に候補を減らせます。
- 符号を先に決める(\(c\) が正なら同符号、負なら異符号)
- 共通因数を持つ組は最初から外す
- 合わなければ真ん中の列の上下を入れかえる
たすき掛けができるようになったら、二次方程式の問題で実際に使ってみましょう。
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