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剰余の定理とは?【式の仕組みをイメージすれば意味がわかる!】
数学IIで出てくる剰余の定理。
理屈は簡単なんですが、意外とパッと言われて深堀りしないので
ん?この定理…どういうこと?どう使えばいいの?
となりがちです。
この記事では剰余の定理の本質的な意味と押さえておくべきポイントをわかりやすく説明していきます。
剰余の定理とは?
…ヤバいわね。
あら?はなこさん、どうしたの?
いや、今度の生徒会企画「生徒全員に私の作ったクッキーを食べてもらって美味いと言わせる会」用に準備したクッキーに…1つ余って別にしておいたクッキーが混ざっちゃったんだよね…。
(なに?その企画…?)ほう、余ったクッキーが…。
そうそう、全部3個入りにしたんだけど、2個だけ余っちゃって。でもその2個入りのやつもこの中に混ざっちゃったんだよね。
まぁ、1つだけ2個入りなんだから持ってみたら気づくでしょ。
そうね。じゃあ3個入りのクッキーを探して、クラス毎に分けて段ボールに入れてちょうだい。余ったやつが2個入りだから。あとはよろしく。
え?今、なんか俺が仕分け作業することになった?
ということで剰余の定理です。
剰余の定理は多項式を1次式で割った余りを求める定理ですが、そのポイントは式で割ったときの余りじゃない部分にあります。
ということで、剰余の定理を確認していきましょう。
剰余の定理
多項式\(P(x)\)を一次式\(x-a\)で割った余りは\(P(a)\)
これだけなんですが、意外と苦手な生徒も多いんですよね…。
剰余の定理は式の仕組みをイメージする!
剰余の定理はこの式だけを見ていても何をいっているのかわかりにくいです。
こちらの記事で説明したように、式の割り算は
(元の式)=(割る式)×(商)+(余り)
という形の意識をもっておくことが重要です。
剰余の定理も「一次式で割った余り」を求める方法なので、この形を意識しないといけません。
逆に言うと、この式の形がイメージできれば剰余の定理は理解することができます。
もう少し具体的に見てみましょう。剰余の定理は「多項式\(P(x)\)を一次式\(x-a\)で割った余り」の話なので、
\(P(x)\)を一次式\(x-a\)で割ったときの商を\(Q(x)\)、余りを\(r\)とします。
ここで重要なのは、(余りの次数)<(割る式の次数)となるので、一次式\(x-a\)で割ったときの、この余り\(r\)は定数になります。よって、
\(P(x) = (x-a)Q(x) + r\)
他の余りを求める問題でもよくやるのですが、よくわからない商\(Q(x)\)部分を上手く消去するために、\(x=a\)をこの式に代入します。すると、
\(P(a) = 0 \cdot Q(a) + r\)
\(P(a) = r\)
となります。
\(x-a\)が0になるような値を代入することで、よくわからない\((x-a)Q(x)\)の部分を消しちゃおう!ということですね。
ということで、\(x-a\)で割った余りは\(P(a)\)、となります。
ここがイメージできれば、あとは2,3問練習すれば慣れていきます。
例.\(x^3 +2x^2 -4x+3\)を\(x-1\)で割った余りを求めよ。
実際に割って余りを求めてもいいのですが、正直面倒です。
一次式で割っているので、剰余の定理を使いましょう。
(解答)
\(P(x) =x^3 +2x^2 -4x+3\)とする。
\(P(x)\)を\(x-1\)で割った余りは、
\(P(1) = 1^3 + 2 \cdot 1^2 -4 \cdot 1 + 3 = 2\)…(答)
ちなみに、実際に割ると次のようになります。
剰余の定理の例と練習問題
問.次の多項式\(P(x)\)、\(Q(x)\)を\(x+2\)で割った余りを求めよ。また、\(P(x)=(x+2)(商)+(余り)\)、\(Q(x)=(x+2)(商)+(余り)\)の形で表せ。
(1) \(P(x) = x^3+3x^2+x+1\)
(2) \(Q(x) = 2x^3 + 3x^2 -x+2\)
答え
(1) \(3\)、\(P(x) = (x+2)(x^2+x-1) + 3\)
(2) \(0\)、\(Q(x) = (x+2)(2x^2-x+1)\)
問.\(x^3+x-2\)を\(x-a\)で割った余りが\(a^3-a^2\)となるとき、\(a\)の値とそのときの余りを求めよ。
答え
\(a = -2\)のとき、余り\(-12\)
\(a = 1\)のとき、余り\(0\)
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剰余の定理まとめ
剰余の定理のイメージと練習でした。
まずは、しっかりと
(元の式)=(割る式)×(商)+(余り)
の形をアタマの中に入れておいて下さい。今後も式の割り算の話をするときに役に立つはずです。
あとは、数問練習をして慣れていきましょう。
実践的には因数分解に繋がる因数定理の方が使うことが多いと思います。ですが、因数定理も剰余の定理と同様の理屈なので、ここでしっかりと「一次式で割った余りの求め方」を押さえておいて下さい。